CASE STUDY事例&成功のヒント

事例から学ぶ成功法則

個人事業主の事業承継

※株式会社名南経営コンサルティング 顧問(元名南コンサルティングネットワーク代表)の影山によるコラム。最新のツールや話題のテーマをさまざまな切り口でお届けします。

10月22日に開催された規制改革推進会議の行政手続部会の議事録が公開されている。ここでの議論の一つに「個人事業主の事業承継時の許認可手続きの簡素化について」がある。

70歳代以上の個人事業主が約80万人いるとされ、相続による事業承継時の手続きの課題と現経営者生前中に行う事業承継時の課題及び各中小企業団体からの要望等が議題に上がっている。

1.相続承継時の課題
・事業主死亡後に子又は配偶者が承継する場合は「承継届」等簡易な手続のみ。
・子/配偶者が健在で、孫や兄弟及び従業員等が承継する際には、新規の許認可手続が必要。
・子/配偶者以外の親族承継の手続きを簡素化し、相続後の営業が円滑になるような要望が多くの業界から出ている。

2.生前承継時の課題
・理美容の業界であれば、相続承継の手続きなら「相続承継届」「戸籍謄本」「相続人全員の同意書」があれば良く、生前承継になると「開設届」「施設内の平面図」「建物の施設の位置図」「施設の付近の見取り図」「全員分の理美容師の免許証」「従業員が結核ではない旨を証明する書類」「開設手数料」「施設の確認審査」等多くの手続及びコストが必要になる。
・酒類販売業の場合であれば、生前承継の手続きで15種類の書類及び税務署の現地確認や登録手数料の納付が済まないと営業できない。結果、休業をして手続きをしなければならない。
・その他、飲食業・クリーニング業・建設業・旅館業等の業種の手続きも複雑で、各省庁にまたがり簡素化を望む声が強い。

個人事業主の事業承継は早急に対処すべき課題で、第三者への事業譲渡のマッチングサイト等も充実してきており、後継者発掘の機運が芽生えているところからも、特に許認可を必要とする業種の手続きに関する「規制緩和」は必要とされるだろう。

士業ビジネスにとって規制緩和が実現すれば、「逆風」にもなるし、生前承継の準備をプレゼンする士業にとってはビジネスチャンスにもなると思う。