早い事務所はロボットを使いこなし始めている
2019.05.10
※株式会社名南経営コンサルティング 顧問(元名南コンサルティングネットワーク代表)の影山によるコラム。最新のツールや話題のテーマをさまざまな切り口でお届けします。
会計事務所業界にRPAソフトを普及させるための「会計事務所RPA研究会」なる団体ができて、会員募集とRPAのメニュー開発をスタートしている。電子申告、会計処理、確定申告書作成等の会計事務所の定型業務の一部若しくは大半を、RPAソフトで自動化するプログラムを目指す。
一方で、年末調整の電子申告を全くやってこなかった税理士法人が、2名の女性スタッフで無料のRPAソフトを使って500人規模の電子申告を約9時間で完成させたり、一人税理士が「法人税別表」の一部入力をRPAで作成したり、相続税申告で「上場会社の評価明細書」を東証のホームページに掲載されている「月間相場表」をコピペして、評価額を決め明細書に転記させるRPAを作った事例等も、ブログ等を通じて発信され始めた。
RPAというと、定型的且つ反復する大量の業務を自動化するイメージがあり、大企業のバックオフィスの合理化ソフトとして語られることが多いが、会計事務所の業務にも、データ量は多くなくても「あれば便利」な、「サービス品質向上」に繋がるRPAソフトの開発は待ったなしになってくるのかもしれない。
顧問先の決算が終了すると同時に、顧問先の株価を「非上場株式の評価方式」に従って計算するRPAソフトが完成すると、必要だが「手間がかかる」理由で一部の顧問先に提供していたサービスを、全ての顧問先に提供できることになる。
会計ソフトで「資金繰り表」は作成可能だが、商品ごとの限界利益率で算定した売上計画に基づく回収計画や、社員一人単位の昇給率や賞与を予定した人件費計画など、会社固有のデータを入れ込んだ資金繰り表の作成となると、会計ソフトや給与ソフトの元データの必要な部分をコピペしてエクセルで作成することができるが、この作業の部分をRPAで作成することで「手間がかかる」から卒業できるかもしれない。
安価なRPAソフトも出てきており、会計事務所スタッフの中でRPAソフト開発に専従できるメンバーを一人でも育てておくことが、今後の業界内競争に勝ち残る要件の一つである。