スマホ申告が大きく変わる?
2019.05.29
※株式会社名南経営コンサルティング 顧問(元名南コンサルティングネットワーク代表)の影山によるコラム。最新のツールや話題のテーマをさまざまな切り口でお届けします。
今年の1月から導入されたスマホ専用画面による所得税の確定申告(以下 スマホ申告)が、どれだけの納税者に利用されたのか現段階では不確定だが、評判が良くなかったことは確かなようだ。
「年調済みの給与所得が1ヶ所」かつ「医療費控除か寄付金控除の所得控除のみ」で確定申告する納税者用に作られている。年調未済の給与や上記の所得控除以外の所得控除等を専用画面に入力すると、国税庁の確定申告作成コーナーを利用するように誘導されるので、スマホで簡単入力と思った納税者からは顰蹙を買うことになった。
今年の3月13日に開催された、第20回国税審議会で議論された「税務行政のICT化」の項目によれば、スマホ申告の利用対象者は平成31年分(2020年の確定申告)から大きく範囲が拡大される予定になっている。
・給与所得は年調未済、2ヶ所以上に対応。公的年金等、その他雑所得、一時所得に対応
・全ての所得控除に対応
・税額控除は政党等寄附金等控除、災害減免額に対応
・予定納税、本年分で差し引く繰越損失額、財産債務調書
これなら、ID・パスワード方式でスマホ専用画面での個人の確定申告者は相当増えるかもしれない。申告不要としない配当所得も利用対象になってくれば、さらに使い勝手の良いソフトになるだろう。
マイナンバーを活用した医療費控除手続きの簡素化も、2021年分の確定申告から導入予定と日経が報道した。これが動き出すと「紙書類」の保存といった既存の仕組みが、一般家庭からも崩れ去ることにもなる。当然、スマホ申告にも「医療費通知」のボタンをタップするとデータが連動することにもなろう。
会計事務所にとっての個人のスマホ申告の到来は、自己完結型を進めるのか、節税や有利不利のアドバイスを含めた業務委託を有償で納税者に進めるかで方向が分かれることになろう。