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事例から学ぶ成功法則

医療費控除の計算がRPA化された

※株式会社名南経営コンサルティング 顧問(元名南コンサルティングネットワーク代表)の影山によるコラム。最新のツールや話題のテーマをさまざまな切り口でお届けします。

会計事務所の担当者が顧問先経営者や従業員の確定申告書作成に伴い、医療費控除に必要な領収書の束を預かって明細書を作る。こうした光景は何十年もこの業界で続いてきた。

医療費控除の計算は、確定申告作業の中でも一番単純で且つボリュームもあるものだ。

昨今、RPAが叫ばれる中で、ついに「医療費控除集計機能」というRPAサービスが登場した。サービスの特徴は対象となる領収書等をスキャンニングすると以下のことが自動化される。

・画像データから明細形式で集計データを作成し
・異常値や対象外の可能性があると思われるものには付箋マークがついて絞込みができ
・付箋のあるデータとスキャン画像を比較して手直しが可能になり
・家族単位の集計と明細書も作成され
・データを一部の申告書ソフトへインポートできる

このサービスは記帳代行会社の「スキャる」と辻本郷税理士法人が共同開発し、今後、税理士事務所専用バージョンの仕訳業務のRPA化サービスも提供していく予定だそうだ。

辻本郷税理士法人はNTT東日本の開発したAI-OCRとRPAを連動させたシステムのプロジェクトにも参加しており、全国64支部の税理士事務所業務にRPAを本格導入するようだ。

この巨大税理士法人に参画する大半の税理士事務所は業歴も深く、各支部それぞれに「仕事のやり方」があり、統一するのには相当の難題を抱えているはずだが、ここにきてRPAやAI-OCRの新サービスの導入で、「単純・反復・繰り返し」作業を伴う業務は全国共通化が可能になってくるのかもしれない。

こうした形で人手不足感や社員のより高度な業務への期待感が高まると、会計業界もこれに倣う同業者も多く出現してくるだろう。同時に、「どういうタスク」をRPA化するかの競争も始まる。