相続税改正後の税務調査の実態は?
2018.11.01
※株式会社名南経営コンサルティング 顧問(元名南コンサルティングネットワーク代表)の影山によるコラム。最新のツールや話題のテーマをさまざまな切り口でお届けします。
例年11月には国税庁の報道発表で「相続税の調査の状況について」がホームページに掲示される。今年の11月の報道発表は平成29年事務年度の報告なので、相続税の調査は平成27年に相続税申告を行った人を中心に調査を行い、その結果をまとめた資料が公開される予定だ。
平成27年は相続税の基礎控除が改定減額された年にあたり、相続税の申告数が前年の倍にあたる10万件を超える年でもあった。基礎控除の改定減額前の相続税の調査実態も把握しておけば、改定前後の影響の違いが読み取れるかもしれない。
平成28年事務年度の報道発表によると、平成26年に発生した相続事案を中心に税務調査を実施し、その件数は全国で12,116件あり、非違割合は82%に達し、1件当たりの申告漏れ課税価格は2,720万円だった。平成26年分の申告数は約5.6万件なので、申告数に対する税務調査の割合は約2割強で、そのうちの約8割強が修正申告をしている状況になっている。
3大都市圏のある国税局別に見ると
大阪国税局の非違割合が一番高く、他の国税局の報道発表で見ても、東京を除く国税局での非違割合は80%を超えている。
平成29事務年度の「相続税の調査の状況」が近く報道されるが、相続税改正で倍増した申告数に対し、調査実地件数がどの程度増えているのか、非違割合は変化しているか、無申告者の件数や非違割合を確認しておくことも相続税申告手続きの受託を強化しようと思う事務所には必要だろう。