継業を求める人を発掘する
2021.11.04
※株式会社名南経営コンサルティング 顧問(元名南コンサルティングネットワーク代表)の影山によるコラム。
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以前紹介したM&Aマッチングサイトの「ビズリーチ・サクシード」が行った、譲渡先事業所の実名を公開した後継者公募が、サイト公開後約1ヶ月で成約した。
譲渡先の事業所は旅館で、譲り受け事業所は設計事務所だった。
通常のマッチングサイトなら、譲渡先事業所が匿名で、地域・事業内容・規模・特色などが記載されているが、今回の後継者公募は実名・場所・背景の写真・事業への想い・後継者公募に至った理由などが丁寧にストーリーとして描かれ、買い手がサイトを見て即時応募したそうだ。
世に多くの事業承継マッチングサイトが誕生し、2,000社を超えるM&A仲介事業者が存在している。後継者難による事業引継ぎの助言や指導は間違いなく必要不可欠である。譲渡先事業所の「件数」でいえば、地方の個人事業で飲食・宿泊・建築・各種教室・その他サービス業の比較的債務も少なく、後継者が現れなければ廃業もやむなしと考える小規模事業者が圧倒的に多く存在すると考えられる。後継を検討する側も「買収」というより「引継いでみたい」と思える案件が身近なものとして描かれていて、実名の情報があれば、よりマッチング率は高まるのだろう。
宮崎県の会社が運営する「relay」は譲渡先と「継業してくれる人」をつなぐマッチングサイトで
1.誰がどんな想いでやってきた事業かをオープンにする
2.地域内のさまざまなプレイヤーと協業してネットワークを築く
3.引継ぎ側(譲渡先)の取材・記事制作・成約時の報酬は完全無料
を謳っている。先日も富山県氷見市が運営する「引継ぎサイト」と提携して、実名で譲渡先の実名・各種画像・事業主への取材記事などがストーリー仕立てで掲載されている。他にも、経営者から営業マンに専念したいという理由で「継業」を望む不動産屋、米屋、レストラン、ゲストハウスなど、地域の小規模事業者のストーリーが丁寧に描かれている。
「M&Aなんて。当社を買うような人は見つからないよ」と結論を出す前に、「継業」を探す事業者・個人にアピールする手段は多く残されている。