向こう1年での廃業数の予測
2020.10.16
※株式会社名南経営コンサルティング 顧問(元名南コンサルティングネットワーク代表)の影山によるコラム。最新のツールや話題のテーマをさまざまな切り口でお届けします。
東京商工リサーチが9月23日に公表した「2020年1-8月の休廃業・解散企業数」は前年同月比で23.9%増の35,816件(速報値)で、通年では休廃業・解散企業数が過去最高の5万件に達し、倒産予想件数1万件を合わせ6万件になるかもしれないと警告している。
更に同社が8月28日から9月8日に行った「中小企業の廃業」に関するアンケート結果では、「廃業を検討する可能性」が「ある」と回答した企業が全体の8.8%あり、うち、廃業時期を「1年以内」とした回答が44.4%あった。まさに大廃業時代を迎えようとしていると主張する。
競合の帝国データバンクも休廃業・解散企業数のデータを公開しているが、東京商工リサーチのデータと食い違いがある。例えば2019年の両社の休廃業・解散企業件数は、東京商工リサーチは前年比7.2%減の43,348件とするが、帝国データバンクでは前年比2.6%増の23,634件とした。2018年のデータでも東京商工リサーチは前年比14.2%増だが帝国データバンクは5.6%減と、増減率も件数合計も相違がある。過去8年分のデータでも、件数の総数で各年2万件くらい、東京商工リサーチのデータのほうが多いのである。
休廃業の定義も「事業活動の停止」というワードを含むのは両社同様であるが、この動向調査は個人事業者も含まれているので、「閉店」を休廃業とするか調査員の心象で異なる可能性も考えられる。両社の倒産件数データには大きな食い違いはないが、休業か廃業かは明確な証拠がないので、こうした差異が生じるのかもしれない。
いずれにしてもアンケートで「廃業を1年以内に検討する」とした事業者が中小企業の約4%(8.8%×44.4%)とすると、事業者数では約15万者になり、早急な事業引継ぎ対策が必要になってくる