CASE STUDY事例&成功のヒント

事例から学ぶ成功法則

預金口座の全貌が税務署に簡単に判る時代へ

※株式会社名南経営コンサルティング 顧問(元名南コンサルティングネットワーク代表)の影山によるコラム。
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金融機関に対する国税局・税務署による預貯金等照会をオンラインで行うことが10月1日より開始される。

昨年10月から12月に、ゆうちょ銀行ほか複数の金融機関と一部の国税局・税務署との間でNTTデータが開発した「pipitLINQ(ピピットリンク)」を使って、預貯金照会を「紙」を介さずオンラインで質問・回答する実証実験がなされ、従来では金融機関から「紙」での回答が約2週間弱要したのに対し、「オンライン」での回答は2.5日程度であり、税務署・金融機関双方の業務時間の削減効果が確認できたとして、本格導入に至った。

10月1日からゆうちょ銀行と全国の国税局・税務署との間で、「pipitLINQ」を使っての納税者の預貯金などの質問・回答に関するオンライン化がスタートした。質問する側の国税局・税務署が「標準様式」に従って金融機関に照会をかけ、ゆうちょ銀行からオンラインで回答をデータで得る仕組みだ。

「相続」では申告されていない預金口座の発掘、家族間の預金の移動状況を税務署が照会掛ければ2~3日で回答を得られるので、税務調査の精度向上や調査の期間短縮に繋がってくるだろう。
事業者にとっては「売掛金」「買掛金」などの反面調査が取引先の金融機関照会を経て簡単に実行されるだろう。

NTTデータの「pipitLINQ」は同社のホームページによれば、現時点で金融機関43行、行政機関は194自治体がすでに導入しており、自治体では「健康保険料の収納率」が大幅に向上したり、瞬時の「差押え」に威力を発揮している事例もある。

NTTデータでは「pipitLINQ」を100の金融機関及び300の自治体への導入を令和3年度末までに終える計画をしている。

今後、運用が進めば様々な課題が出てくるだろうが、オンライン照会には納税者の同意が無くても金融機関・税務署間で行えるので、会計事務所としては顧問先に「pipitLINQ」を導入した金融機関名をホームページなどで確認して情報提供しておくことも必要だと思う。