遺言サービスが激化するかも・・・
2018.09.18
※株式会社名南経営コンサルティング 顧問(元名南コンサルティングネットワーク代表)の影山によるコラム。最新のツールや話題のテーマをさまざまな切り口でお届けします。
約40年ぶりの相続法改正に関する法律案が国会で可決された。中でも、「自筆証書遺言の要件緩和」及び「自筆証書遺言の保管制度の創設」については、従来制度以上に「遺言」に関してハードルを下げる改正になるのではないかと思う。
従来の自筆証書遺言は遺言の全文を「自書」することが求められ、高齢者には負担であり、字句を間違えば無効になることもあり、手軽ではあるが実行する段で多くの課題もあった。
今回の要件緩和では、遺言書に記載する不動産や預金等の財産目録に関してはパソコンで記載してもよく、家族の人に代筆をしてもらうことも可能になる。但し、枚葉ごとに遺言者のサイン・押印を付すことが条件になるが。
次に「自筆証書遺言を作成して、どこに保管するか、紛失したらどうするか」といった従来の不安を軽減するために、全国に約370ヶ所ある法務局(支局、出張所等)に保管してもらうことが可能になる。遺言書を預かった法務局は遺言者の死後、相続人の問い合わせに応じ遺言書の閲覧ができ、同時に他の相続人にも遺言書保管の通知が来るようになる。
この仕組みで最も便利になるのは、家庭裁判所の「検認」が不要になることだ。死後、遺言書に従って速やかに財産相続の手続きが進むことになる。
公正証書遺言の作成件数は昨年1年間で約11万件あるが、全国の公証人が約500名で対応しており更に作成件数の増加に応じ切れるかは定かでなく、遺言者からすれば相応のコストも必要なので、今回の「自筆証書遺言の保管制度」は「遺言書」を作成しておくことの良いきっかけになるだろう。
「要件緩和」の施行は来年1月、「保管制度」の施行はこれから2年以内と決まっており、各士業の専門家や金融機関も財産評価や遺言書内容の妥当性等についてのコンサルティングサービスの激化が予想される。