税理士法人の経営統合
2018.12.28
※株式会社名南経営コンサルティング 顧問(元名南コンサルティングネットワーク代表)の影山によるコラム。最新のツールや話題のテーマをさまざまな切り口でお届けします。
国税庁の法人番号公表サイトで「税理士法人」として法人番号が付与されている数は、平成30年12月時点の累計で4,018件(登記閉鎖除く)、平成30年1~12月の法人番号付与件数が273件、同様に平成29年は274件、平成28年は289件となっている。日本最大の新宿に本拠を置く税理士法人の国内支部数は64支部に達し、顧問先数は約12,000社に及ぶ(同社HPより)。
税理士法人は個人事務所が法人化するケースが一般的であるが、平成30年の特徴の一つに税理士法人の「経営統合」が挙げられよう。中でも注目なのは、仙台に拠点を置く会計法人と山形に本部を置く税理士法人が経営統合し、社員数130名の東北最大の税理士法人になったことだろう。
税理士業は地域密着ビジネスの最たるものであるが、地方ほど少子高齢化で事業所数は減少し、働き手も少なくなっている。一定の規模拡大によって提供するサービスメニューを増やしたり、IT武装で業務効率化を図ったりするなどして、経営強化をしなければならない。この統合後の税理士法人の採用ページには「RPAソフトの開発者求む」とあり、既に事務所内にてRPAを導入し、顧問先の業務支援ツールの提供も予定しているようだ。これも「経営統合」のメリットの一つなのかもしれない。
今年の7月には東京・横浜の5つの個人事務所が合併して税理士法人化をした。記帳・申告代理を主に求む顧問先、創業・成長期に会計コンサルを望む顧問先、IPOを視野においた顧問先等、各社が統合することで多様なサービスメニューをアピールするメリットがあった。更に社会保険労務士や行政書士が合流してワンストップサービスの実現を狙い、個人事務所では不可能なことが「経営統合」で可能になった。
今年の4月には愛知県の地方都市に拠点を置く税理士法人が、東京の老舗の税理士法人と経営統合した。本部設置も新理事長選出も地方都市に拠点を置く税理士法人主導のようなので、事業承継を含んだ経営統合の形でもある。この事業承継型の経営統合も今年は多く、この流れは今後更に勢いを増していくだろう。