CASE STUDY事例&成功のヒント

事例から学ぶ成功法則

破産会社の7割が社長も破産の実態

※株式会社名南経営コンサルティング 顧問(元名南コンサルティングネットワーク代表)の影山によるコラム。最新のツールや話題のテーマをさまざまな切り口でお届けします。

金融庁のホームページに金融機関の「新規融資に占める経営者保証に依存しない割合」が銀行別に掲載されている。直近のデータだと令和2年10月時点の割合が提示されていて、それによると

メガバンクでは、みずほ銀行43.8%、三菱UFJ銀行45.4%、三井住友銀行43%  、りそな銀行29.9%

となっていて、メガバンクの大半が新規融資額の約4割に対して経営者個人の保証を取らないで融資していている実態が見える。それでも残りの6割は経営者保証に依存し、融資先が破産すれば経営者個人の財産を投入し、賄えなければ経営者個人も破産することになる。

・地銀・第二地銀103行では同様の割合が40%を超える銀行は11行で全体の1割に過ぎない。東京スター銀行の93.6%を筆頭に北國銀行が82.8%と続き、以下、岩手銀行、北日本銀行、仙台銀行、南都銀行、山陰合同銀行、西京銀行、大分銀行、宮崎銀行、沖縄海邦銀行が40%強となっている。

・9割近い他の地銀・第二地銀は大半が20%台で中には一桁台の銀行もある。

8月16日に東京商工リサーチが公開したデータによると、「2020年度に破産した5,552社のうち3,789人の社長が破産開始決定を受け、社長破産率は68.2%の高率に達した」となっている。会社の破産と経営者個人の破産との関連を調べた全国でも初の調査だそうだ。

政府は数年も前から「経営者保証に関するガイドライン」を策定して、社長個人の資産を担保に依存した融資の姿勢を改めるよう金融機関への指導を強化している。しかし実には、銀行も与信リスクの高い中小企業には従来の個人保証を求めるし、借り手の中小企業も必要な融資額を手にするには個人保証もやむを得ないと考える風潮もある。コロナの収束を見て国の様々な金融支援も打ち切りになってくると、社長個人の破産問題が社会問題化することになってくるだろう。

会計人は顧問先の融資額に個人保証が残っているのか、保証の形態がどうなっているかを再度確認し、時間をかけてでも銀行と経営者保証の解除に向けた話し合いをすべきだろう。