真似できないもの
2020.04.09
企業同士が競い合うとき、
企業・商品・サービスなどの「競争優位性」が高い方が
有利だということは、共通認識だと思います。
多くの経済学者が「競争優位性」を研究しており、
その中でも注目されたのが「模倣困難性」、
つまり、商品やサービスが真似しにくいものかどうか、
ということです。
模倣困難性の高い経営資源を持っていると、
競争優位性に繋がり、企業の長期的な成長を
見込むことができます。
経営資源とは「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」です。
では、私たち会計業界での経営資源で
模倣困難性の高いものとは何でしょうか?
【ヒト】
例えば「経営理念の浸透」は、
所長の考え方をスタッフが共有し実践することです。
所長と全く同じ人材を育てることは不可能ですが、
経営理念がしっかり浸透している事務所は、
他事務所にとって、模倣困難性は高くなるでしょう。
【モノ】
例えば、事務所独自で工夫して作成した資料や帳票は
そこに事務所のいろいろなノウハウが詰まっていて、
模倣困難性が高いものと言えます。
【カネ】
例えば、借入や投資など、大きな決断をする場合、
模倣困難性が高まるタイミングと言えるでしょう。
思い切って大きな事務所を借りたり、
拡大する覚悟を持ってスタッフを採用したり、
前向きな投資を行う意思決定力は、
模倣困難性を高めることになります。
【情報】
現代は、インターネット・新聞・テレビなど、
多くの媒体で情報を得られる時代です。
最新情報を追いかけるだけでは模倣困難性は低いですが、
各事務所の「顧客対応ノウハウ」は
既に持っている、他事務所が真似できない大切な情報です。
先生やスタッフが顧問先から受ける相談とその回答を
常に事務所全体で共有し活用できれば、
多くの顧客対応ノウハウが蓄積できるでしょう。
情報を共有・蓄積することは、一朝一夕ではできませんが、
顧客対応ノウハウを蓄積し活用していくことで、
より模倣困難性の高い事務所になっていくと思います。
事務所の戦略を検討する上で、
自事務所のどこに「模倣困難性」があるのか、
一度考えてみるのも良いでしょう。