CASE STUDY事例&成功のヒント

事例から学ぶ成功法則

歯科医院施設数の純減状況

※株式会社名南経営コンサルティング 顧問(元名南コンサルティングネットワーク代表)の影山によるコラム。最新のツールや話題のテーマをさまざまな切り口でお届けします。

コロナ禍で不要不急の診療科で、且つ飛沫感染リスクが高いと言われているのが歯科診療所である。現実に東京の歯科保険医協会の調査によると、4月の保険収入で3割以上の減少と回答した歯科医院が5割近くに達したとあった。東京の歯科医院の7割が店舗を賃貸で行っているので、賃料支払いも厳しくなっているところもあるようだ。

厚生労働省の「医療施設動態調査」は、歯科診療所施設数を毎月概数で2ヶ月遅れで公表している。全国の施設数を純増・純減で過去1年の月別データを開示すると、

令和2年 5月 4月 3月 2月 1月
純増数 ▲11 ▲30 +13 ▲8 ▲77
令和元年 12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月
純増数 ▲75 ▲28 ▲4 ▲11 +16 ▲8 +26

令和元年6月~令和2年5月の1年間で、歯科診療所施設数は▲197の純減となった。

施設数を過去5年で見ると

令和2年5月時点 68,291 (ピーク時から626件の減少)
令和元年5月時点 68,488
平成30年5月時点 68,774
平成29年5月時点 68,917
平成28年5月時点 68,867

平成29年をピークに、歯科診療所施設数も毎年微減状態に入ってきた。過去5年間の新規開設数が年1,500~1,900件なので、純減状態にあるというのはこれを上回る廃業・休業数を意味する。

歯科診療所の新規開設者は内装のデザイン性や最新医療機器の設置を望むことが多く、旧来の施設形態で廃業する診療所の事業譲渡や賃貸で引継ぎを行うのは難しいものがある。コロナ後も歯科に患者数が戻ってくる期待も少ないなかで、新規開設で数千万の投資を行うのもリスクが大きく、歯科医院経営の実情に明るい専門家の新規開業指導がより一層求められることになるだろう。