CASE STUDY事例&成功のヒント

事例から学ぶ成功法則

儲かっている商品と儲けの少ない商品の構成比を即答できるか?

※株式会社名南経営コンサルティング 顧問(元名南コンサルティングネットワーク代表)の影山によるコラム。最新のツールや話題のテーマをさまざまな切り口でお届けします。

コロナの収束が見えない中、経済界へのあるアンケート調査で「景気が上向くのはいつごろからか」という問いに対して、約9割の人が来年の初めと回答したとの報道があった。
勿論、現在のデルタ株の状況やワクチン接種率が予定通りにならない等のリスクもあるが、経済が落ち込んだままで日本が沈没するようなことはないはずだ。
中小企業も景気回復に向かう中で、自社の事業計画を検討していく必要に迫られる。

重要なファクターとして、損益分岐点比率をコロナ前の値からどの程度下げることができるかが鍵となるだろう。損益分岐点比率とは「実際に売上高が〇〇まで減少したら利益が0になる」値。中小企業の損益分岐点比率の平均値は約80%と昔からいわれているから、実際の売上高が20%下がれば利益が0となる。

コロナ後の売上高目標をコロナ前よりも高い目標を掲げるよりも、先に検討すべきことがある。損益分岐点売上高を低くする努力だ。
損益がトントンになる売上高(損益分岐点売上高)をいくらまで下げることが可能かをイメージすることが重要である。
「損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率」で計算されるから、損益分岐点売上高を下げるには、固定費を下げる若しくは限界利益率を上げる方策が考えられる。

コロナ禍の経営努力でギリギリまで絞った固定費を安易にコロナ前に戻らないようにチェックすることが求められる。
特に交渉して下げてもらった賃料、人件費の固定費化した部分の見直し、要員配置等を重点課題として気が緩まないようにすることが
肝要だ。

限界利益率の向上には、単位当たり利益率の高い商品の売上構成比を上げ、利益率の低い商品の売上構成比を小さくすること。
要員配置の見直し、奨励金の導入、広告費の集中投入など利益率の高い商品の拡販にメリハリを利かせることだ。

回転すしのスシローの限界利益率は54.4%(2021/6月期)、眼鏡チェーンのJINSは79.3%(2021/5月期)、化粧品・サプリメントのファンケルは70.5%(2021/3月期)と高い限界利益率を誇っている。あれだけ安売りしているようでも、商品粗利益率は一般企業の2倍以上になる。

Withコロナの販売戦略は売上高拡充オンリーでなく、限界利益率の高い商品の売上高構成比をコロナ前よりも高める努力が益々必要になる。自社にそういった商品が無く、開発も難しければ、M&Aで見つけることも検討できる。そういった経営姿勢に、金融機関は応援してくれるはずだ。