企業価値評価算定を売りにすべし
2021.09.22
※株式会社名南経営コンサルティング 顧問(元名南コンサルティングネットワーク代表)の影山によるコラム。最新のツールや話題のテーマをさまざまな切り口でお届けします。
今後もさらに急増すると考えられる中小企業間のM&Aを支援する機関を登録制にし、仲介手数料や諸手続きに伴う費用負担の一部を補助する「M&A支援機関登録制度」の登録者の中間発表があった。
9月6日時点での登録者は493社で、上場のM&A専門業者をはじめ、税理士・会計士が104社、地銀・信金で26社あった。登録申請の受付最終は9月21日なので、支援機関として登録する業者はもう少し増える見込みだ。
この支援機関としての登録制度は「登録している業者に仲介や助言を求め、コストが発生した場合には国が250万円を上限として、コストの1/2を負担する」制度であり、登録していないからM&Aの仲介・助言業務を行ってはいけないということではない。
仮に1億円の譲渡価格でM&Aが成立して、500万円の仲介手数料を業者から請求されても、実質半額の250万円の負担で済むようになるので、売り手・買い手企業からすると仲介・助言業者が支援機関として登録しているかどうかは、業者選定の大きな誘因になることは間違いない。
M&A支援機関として登録する業者は「中小M&Aガイドライン記載概要」にそった運用が求められる。特に小規模案件の仲介を行う場合には、売り手・買い手の双方代理を行うケースも多いので、今後は双方への中立性・公平性が厳しく求められ、仲介者が企業価値評価(DD)を実施することは禁じられ、士業等専門家の意見聴取に係る助言を求めるようにガイドラインに明記されている。
支援機関として登録した金融機関が仲介業者として活動する場合には、銀行内部でDDを行うことはできないので税理士・会計士にその役割を求めてくるだろう。
会計事務所が支援機関として登録する(専従者が必要、且つ活動実績開示が毎回ある)には負担も大きく、むしろ金融機関の扱う案件のDD実施営業を行うのも十分ありだ。